「降誕祭幻想」今日は12月24日、クリスマスイヴ。今夜は街中に、聖なる鐘が鳴り響く。 さぁ…今から僕が、キミをイリュージョンの世界へと案内しよう。 何も怖がらなくていい。キミは静かに、僕に身を任せていてくれればいいだけだ。 そぅ、瞳を閉じて…。ほら…何か聞こえてきただろう? …誰かがキミの名前を呼びながら、慌てて走ってくるよ。 「もう始まっちゃうよ!!早く行かなきゃ!!」 …ウサギだ!どうやらキミは、どこかへ招待されているようだね。 さぁ、急いで行かないと…。 …どんどん森の奥へと入っていくよ。 「ふぅ。どうにか間に合ったかなぁ」 目的地に到着したようだね。 …おや?ここは……お城だ! 今日は、このお城の庭でクリスマスパーティーがあるんだ。 大勢の人や動物達が、音楽に合わせて好きなように踊っている。 テーブルの上には、たくさんのごちそうと、大きなクリスマスケーキ。 …そうか。これがキミの理想のクリスマスなんだね。 え?なんのことかって? …まだ気付かないのかい? 僕のイリュージョンの世界は、キミの理想のクリスマスを創り出しているだけなんだよ。 大勢の仲間と大騒ぎのパーティー。 それがキミの理想のクリスマスじゃないのかい? さぁ、音楽が変わった。キミも踊りに行かないと。 今夜はクリスマスイヴ。 辛い事や哀しい事は全て投げ出して、“今”という瞬間をお祝いするんだ。 世界中に、たくさんの“愛”や“希望”が降り注ぐように。 |